10月23日のマタハラ裁判についての意見

たまには自分の仕事に関連することを書きたいと思います。

自分は社労士事務所に勤務しているため、マタハラ裁判のような労働関係の判例を見るときは、会社側の目線になります。

クライアント先で同じことが起きないように、どうしたら良いか?という目線です。

今回の裁判は、すごくカンタンに言うと、

①副主任の立場であった女性が妊娠、出産のため、従来よりも身体的負担が軽い業務を申し出た

②会社側はオッケーした

③会社側は付随して女性の副主任の肩書を外した

④女性はしぶしぶオッケーした

男女雇用機会均等法では、妊娠、出産、育児等を理由として降格や解雇などの不利益扱いを禁止しています。

今回の女性は④でしぶしぶオッケーしたものの、育児休業からの復帰後も副主任に戻れなかったため、均等法違反じゃないか!と会社側を訴えたものです。

会社側はどうしたら良かったか?

③のときに女性に対し、適切な説明をし、身体的負担が軽い業務に変更した場合のメリット・デメリットを説明し、女性の理解と同意を得なければなりませんでした。

ま、そうだよね。と思われると思うのですが、育児後の復帰って、原則子どもが1歳になったとき。結構先の話なんですよね。なので会社としても不確定要素満載なわけなのです。さらに女性が理解したのかどうか、なんていう理解度など分かりません。

今後、自分だったらこうアドバイスします。

すべて書面に残し、従業員に同意する旨の署名・捺印をもらう。

今回の例であれば、

・会社は◯◯の理由で副主任の役職は外します

(責任が重く、緊急の休日出勤にも対応できる必要がある、など妊娠している状況では難しい仕事内容である必要はあります)

・育児休業からの復帰後、元の役職に戻れるかどうかは3か月の◯◯という立場での勤務後、面談により判断します

・副主任の役職から外れた期間中の給与は◯◯手当はなくなり◯◯円となります

・休業復帰後は円滑に休業前の勤務体制に戻れるよう、会社は支援しますが、適切な事業運営や人員の適正配置のため、元の役職に戻れない可能性もあります

という感じです。

無理やり署名・捺印させてはもちろんダメですが、女性としても上記の内容はごく常識的なものかと思いますので納得してもらいやすいのではないでしょうか。

ちなみに今回のマタハラ裁判の裁判官である櫻井龍子さんは社労士の中ではとても有名な、会社に対して厳しめな裁判官です。会社は従業員にすべてを明示し、理解できるように説明しつくさなければならないということを他の裁判でも言っています。

労働関係の法律は働く人に優しい。自分は志高く起業した社長さんを守るために、適切なアドバイスができるよう、これからも勉強し続けたいと思います。